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The Diamond Dust

僕は蜃気楼を見ていた…

The Diamond Dust

by Unknowner

final Heaven Ⅳ の再レビュー

今回はfinal Heaven Ⅳ を再レビューしたいと思います。(1回目のレビューの内容と重複する箇所もありますが,ご了承下さい。)

購入は約2ヶ月前に遡りますが,1回故障して新品交換での対応となったので,実質2代目となります。

 

final

finalという横文字から海外ブランドだと誤解される方もいるかもしれませんが,finalはれっきとしたジャパニーズ・ブランドです。

個人的にはマニアックな通好みのブランドというイメージが強いのですが,実際,購入層のメインは30代〜50代の男性だそうです。(実際,ポタフェスやヘッドホン祭といったオーディオの祭典で,こうした年代の男性がfinalのイヤホン片手にプレーヤーを視聴している姿をよく見かけます。)

同ブランドのヘッドフォン,イヤホンはサウンド,ヴィジュアルともに楽器を彷彿とさせるもので,ジュエリーとかアンティーク感覚でコレクションする人もいそうです。奇抜なヴィジュアルばかりに目が行きがちですが,臨場感溢れる再現性の高いサウンドになっているのが驚きです。

例えば,あのマツコの部屋で紹介されたPiano Forte シリーズ は,その唯一無二の独特なヴィジュアルもさながら,ホーンスピーカーの技術を応用して実現した,臨場感溢れる生々しい音に定評があります。

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写真のように,同じシリーズでも筐体に使用する金属を,クロム銅,ステンレス,真鍮と変えており(Ⅱは例外ですが),それによって音色の微妙な違いを出しています。(ステンレスはクールでスッキリした音,真鍮は艶やかなエロい音,といった感じですね。)

装着感や遮音性など,従来のイヤホンに求められるポイントを犠牲にしてまでサウンドを追求するのが,finalブランドの設計思想なのでしょう。

 

最近ではSONOROSシリーズというヘッドフォンも展開しており,特にフラッグシップのSONOROUS Ⅹ は豪華絢爛なヴィジュアルもさながら,63万というプライスでヘッドフォン業界を騒がせました。

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僕は下位モデルのSONOROUS Ⅲ の淀みないスッキリとしたサウンドを気に入り,購買意欲を掻き立てられている最中です。(シューゲイザー系の音楽との相性が抜群で,音が空間に滲んでいく感覚が味わえます。ポスト・ブラックメタルバンド”Alcest"の楽曲なんかを聴く際お勧めです。女性ボーカルとの相性も上々。)

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ちなみに今日はfinalのショウルームに行ってきましたが,そこで数量限定生産のLABⅡという機種を視聴することができました。

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ヴィジュアルは前述したPiano Forte シリーズ そっくりですが,音質を追求した結果偶然同じ形状になったらしく,意図的にPiano Forte シリーズ の形状にしたわけではないそうです。

価格は40万円と非常に高価ですが,その製法を伺う限り安いと思えてしまうのが不思議です。(最近ではJH Audio Layla Ⅱ やNoble Audio Kaiser10 など,30万前後のiemはユニバーサル機,カスタム機問わずざらにありますし,これらを購入するようなクラシックマニアの方々はLABⅡが十分射程範囲に入るでしょう。)詳細はメーカーのホームページを参照して頂くとしましょう。

肝心のサウンドは,音場が非常に広く,ありきたりな表現ですが,まるでスピーカーで聴いているかのような錯覚にとらわれます。弦楽器の再現性がとてつもなく高く,

 

 

 final Heavenシリーズ について

Heavenシリーズは,バランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーをフルレンジで1機搭載した,finalの看板的存在です。

同シリーズは以下のように三世代に大別されます。

第一世代:s a c

第二世代:Ⅱ Ⅳ Ⅴ/Ⅴ aging Ⅵ 

第三世代:Ⅶ Ⅷ

このうち第一世代は生産終了(公式サイトでの販売も終了)となり,現在生産されているのはfinal audio design 時代に発売された第二世代と,新生Finalになってから発売された第三世代です。

各機種のヴィジュアルはほぼ同じですが,ハウジングに使用する金属に違いがあり,それぞれが単純に音質の差では語れない,個性ある音を奏でてくれます。

すなわち,クオリティー<キャラクターの関係にあります。

簡単に言うと,第二世代の場合,上位機種になればなるほど,より濃厚に,より立体的な音になります。

個人的には,クールでキレのあるⅤのサウンドが好みですが,Ⅳのそよ風のようなヴォーカルに感動したとか,Ⅵの濃厚でエロいヴォーカルに魅せられたとか,好みは人それぞれですから,Heavenシリーズのイヤホンの購入を考えている方は,単純に予算に合わせて値段で選ぶのではなく,できれば全機種比較試聴して,好みにあった相棒をゲットして頂きたいところです。 

以下、第二世代各機種の特徴を簡単に纏めます。(第三世代のHeavenシリーズは別物として考えた方が賢明です。)

 

Heaven Ⅱ (実売価格約9000円)

ステンレス削り出し

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爽快感溢れるややザラザラしたサウンドが特徴。上位機種に比べて中域が抑えられており,音の広がりが実に気持ち良い。

得意ジャンル:ポップス,ロック,HR/HM

 

Heaven Ⅳ(実売価格約19000円)

ステンレス削り出し

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そよ風薫る,ノリの良いサウンドが特徴。女性ボーカルの生々しさは衝撃的とも言われる。ドンシャリ気味で,高音の刺さりや低音の若干の暴れが玉に瑕。

得意ジャンル:ポップス,ロック,女性ボーカル,室内楽

 

Heaven Ⅴ(実売価格約32000円)

真鍮削り出し ブロッククロム仕上げ

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クールでキレのあるサウンドが特徴。真鍮らしくないレスポンスの速さはHeavenシリーズ随一。(とはいえ柔らかさも十分感じられる独特な音。)Ⅳと比べ制動がキチンと効いたスッキリとしたサウンド。Ⅴ系,Ⅵは同一のBAドライバーを搭載している。

得意ジャンル:ポップス,ロック,女性ボーカル,HR/HM

 

Heaven Ⅴ aging(実売価格約38000円)

真鍮削り出し バレル仕上げ

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ふくよかな低域が魅力の,大人な色気あるサウンドが特徴。ジャズの再生で右に出るものはそうそういない。筐体をエイジングする愉しみは革製品を使う愉しみに似ている。

得意ジャンル:ジャズ,クラシック

 

Heaven Ⅵ(実売価格52000円)

クロム銅削り出し

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濃厚でエロいボーカル再生に定評ある,第二世代フラッグシップモデル。男女問わず,とにかくボーカルを魅力的に再生してくれる。卓越したライブ感はこの機種ならでは。

得意ジャンル:男女ボーカル,ジャズ,クラシック

 

 

final Heaven Ⅳ

さて,今回レビューするfinal Heaven Ⅳ は,第二世代Heavenシリーズの中でも一番初めに発売されたモデルになります。

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もともとヴォーカル再生に定評のあるHeavenシリーズの中でも,このHeaven Ⅳ は特に女性ヴォーカルが得意なイヤホンとして有名です。

詳しい音質,音色については後述しますが,クールで浄化機で浄化したかのようなクリーンなサウンドが特徴のHeaven Ⅴ や,ウォームで濃厚かつ艶やかなエロいサウンドのHeaven Ⅵ とは違い,まさにそよ風のようなクリアなボーカルに頭を突っ込んだかのようなダイレクトなサウンドが特徴です。 また,低域の量感が他のHeavenシリーズよりも明らかに多く,若々しい元気なサウンドが好きな方にオススメできます。

なお,Heaven Ⅳ は筐体内の空気の流れを調整するBAM機構が搭載されているため,シングルBAとは思えない,さながらダイナミック型のような豊かな低音と自然な迫力が味わえます。

 

 

 

デザイン

Heavenシリーズはデザインがほぼ統一されており,細長い金属性の筐体に,きしめんのような平べったいケーブルがトレードマークです。同価格帯のSENNHEISER IE60 などと比較しても,高級感は十分に感じられるデザインで,ジュエリーっぽさから女性の方にもお勧めできます。

全長約2cmの細長い筐体により,耳栓で蓋をするような感覚がしますが,圧迫感などは特に感じません。(3段フランジがトレードマークのエティモ製イヤホンなどの方がよっぽどタイトな装着感です。)Heaven Ⅳ の筐体に使用されている金属はステンレスで,夏場なんかは耳に入れた時にヒンヤリして気持ち良いです。

ケーブルが平べったいのは「タッチノイズ軽減のための形状」らしいですが,一体どこがタッチノイズが少ないのか理解に苦しみます。タッチノイズは非常に多く,Shure掛けも困難な設計です。(ケーブルが平べったいので耳掛けしにくいですし,左右逆にして上下逆さに耳に入れると定位が大幅に変わってしまいます。)従って,基本的に止まった状態で聴くか,どうしても歩きながら聴きたい場合はクリップで襟に留めるくらいしかありません。

 

 

 

イヤーピースについて

製品に付属されているイヤーピースには,A,B,Eの3タイプがあり,そのそれぞれについて,SS,S,M,Lの4サイズが用意されています。(合計3×4=12個ですね。)

購入約2ヶ月に「右側から音が出なくなる」故障をし,保証で新品交換になったのですが,その際メーカーからイヤホン本体に加え,イヤーピース一式まで送られてきたことが印象に残っています。こういったちょっとした配慮が感じられるメーカーはまた商品を買う気になりますね。

購入時にイヤホンに標準で装備されているイヤーピースは,AタイプのMサイズでした。メーカー側としては,これを基準に適宜交換してほしいということでしょうか。

イヤーピース交換に伴い,Aタイプ装着時と比較して,Bタイプ装着時は,制動がしっかり効いた開放的なサウンドになり,Eタイプ装着時は,ゴリッとした低音が特徴の堅実なサウンドになります。装着感はEタイプが断トツ良く,シリコンイヤーピースでこれほど装着感の良いイヤーピースは他に茶楽音人のSpinFitくらいしか知りません。あちらは外耳道に吸い付くようなフィット感が特徴的ですが,こちらは耳の中に丸いお団子がドンと入ったかのような安定感が魅力です。

 

 

 

音質

Heavenシリーズ全体に言えることですが,まず,空間表現と余韻の素晴らしさに舌を巻きます。

音場の広さ自体はさほど広くないですし,音像は露骨に頭内定位しますが(後ろから前へスポットライトを当てたような独特な定位が特徴で,上方向への音像の展開が顕著です。),ここまで空間表現に優れたイヤホンは数少ないでしょう。さながら開放型ヘッドフォンのような空間表現を堪能できます。

加えて,音の余韻を,その音が消える瞬間までしっかりと味わえます。音一音一音の質感よりもむしろ,余韻まで含めた音全体の雰囲気で勝負するタイプのイヤホンです。

例えば,バスドラムダンッというキック音の質感よりも,キック前の溜めやキック後の音が空間に響いていく空気感が印象に残ります。

この余韻が引き立つチューニングにより,ポップスやスローテンポのバラードなどとの相性が抜群ですが,一方でHR/HMなどのアップテンポ系の音楽でモタつきを感じることが多々有ります。(HR/HMをメインで聴く方には,レスポンスの速いHeavenⅤをお勧めします。)

帯域バランスは弱ドンシャリ型を彷彿とさせる一方,ふくよかな中域が引き立つ独特なものとなっています。

中高域の再現性は非常に高く,シングルBAらしい透明感の感じられるサウンドになっており,普通の音源がまるでライブ音源であるかのような錯覚を起こさせてくれます。ここまでアコースティック楽器を生々しく再生するイヤホンはそうそうないでしょう。シンバル,ギター,ヴァイオリン,ピアノ,フルート,全てが原音そのものです。加えて,シンガーの口元や喉の渇きが手に取るようにわかるような,ボーカルの再現性が目立ちます。女性ボーカルやハイトーンな男性ボーカルを得意とする一方,ウィスパーボイスやロートーンな男性ボーカルとの相性はそこそこです。女性ボーカルが得意となると「アニソンを聴く方にお勧めできるだろうか?」という疑問も浮かびますが,電子音なんかは柔らかくほぐれて,変に生々しくなってしまうため,音源によるとしか言えません。

 

*この記事の画像は全てfinal公式ホームページより拝借させて頂きました。有難うございます。